2016年10月19日水曜日

三味線あれこれ

こんにちは。秋らしかったり、なんだか暑かったりな日々です。

9月の終わりは歌舞伎座での2日間の藤間会、
東明流連中として演奏で参加させていただきました。
お客様もすごい熱気でした。
こっそり新顔の三味線初舞台でした。
東明流も中棹という長唄などよりもやや大きめの三味線ですが、
すこしこちらは軽やかな音の印象かな。と

そして、10月の頭にあった、NHKのFM放送、
「邦楽のひととき」の収録、
こちらも引き続きこの楽器にしてみました。
東明流の演奏はいまやなかなか珍しいジャンルとなってしまったので、
31日月曜日、11時20分から。
よかったらお聞き下さいませ!
峠茶屋、苫船、という二曲です。

さて
舞踊の舞台が続きますが、
先週末は一中節社中として大阪に参りました。
(今度はこちらも三味線でした)
五耀會でお世話になっています山村友五郎先生、藤間蘭黄先生もご出演の華やかな会でした。
都見物左衛門という、これまた私の一中節のイメージが変わったおもしろい曲で吉村流のお家元が立方でした。

文楽劇場は初めての出演でしたし、
なかなかに緊張しておりましたが、
宇治はる師匠に皆でお好み焼きに連れて行っていただいたり、
帰りに先輩と串カツを食べたり、
ちゃっかり大阪も満喫させていただきました。(食べてばかり)


あと、楽器といえば今年は稽古三味線の皮がよくやぶれる年のようです。。
とほほ。

2016年9月19日月曜日

紙袱紗のこと


演奏会で受付のお手伝いをさせてもらうことも年に数回あるのですが、

近ごろご祝儀をお預かりする時に、
和紙でできた袱紗ごと受け取ることが増えました。
頂いたものを取りまとめている時に初めて見たときはびっくりして、
「御返し忘れてる!」
と思ってしまいましたが
例えばどなたかに託けるなどに、
そのまま渡せてしまうのでとても便利。

なんと最近では演奏会の撒き物(返礼用のお土産的なもの)に
使われるかたもいらっしゃいます。
邦楽界のちょっとしたブームなのでしょうか。

まあ、もちろんきちっとした場面では美しい袱紗に包んで
またきちんと畳んでお返しする、
というこの一連の所作も美しいですよね。

しかし、あると何かと便利なので私もストックしております。


しかし残念ながらお江戸の紙モノ屋さんは
私の調査ではまだほとんど取り扱ってません。
というか、知られてないことが多い。

こちらはちなみに京都の南座の裏の
「やま京」さんで求めました。
福井朝日堂さんという、やはり京都のメイドインジャパンなメーカーで
作っているようなのですが、
色も弔事にも使えそうな濃い紫や、
華やかなピンクなど
各種そろってなかなか楽しいです。

お江戸も榛原(はいばら)さんあたりでも作ってくれたらうれしいんだけどなー。
なにかポリシーに反するのかなあ。


2016年9月6日火曜日

夏の終わり


こちらは今年で3回目になりました、
高山のお稽古場の浴衣会でした。
洲さきさんにて。

芸妓衆だけで幕開きにひとつ出し物をしました。
今年は、3年前に初めて三味線にさわった芸妓さんが
私の唄で糸をつとめてくれるまでになったり、
その他にも、初めての方も、回を重ねた方も、
それぞれに、実りある演奏をしてくださいました。

私も、みなさんの目標や豊かな時間を目指して
よりよくお手伝いが出来るようにもっと工夫したいと思いました。

応援してくださる高山市のみなさんに感謝です。

挨拶を、と言っていただいて、宴席後にしましたら
無駄に感極まってしまい、それをみなさんに撮られておりました。。



プライベートで京都に参りました。
着物をもたず、三味線ももたず、
は、学生以来だったかもしれません。

家の用でもあったのですが、つかの間の夏休み気分を満喫できました。
岡崎の、動物園おもしろかった!
夕飯をつまんだお店に左右開きの雪見障子がありました。
このタイプはわたしは初めて見ました。
雪見なら横に開くのはなんとなくイメージとちがう気がしまして
ちょこっと調べましたら
猫間障子とも呼ばれていました。

うーん、しかしこれもまた
猫の出入りならガラスは入れてはいけないような、、

小2のむすめにはこういうちょっとした細工がたまらないようで
何度もそこから見えるドリンクカウンターの様子をチラ見しておりました。




2016年8月23日火曜日

浴衣ざらいと録音しごと

恒例の稽古場の浴衣ざらい




若女将がお弟子さんです、うなぎの喜代川にて。
美味しいうなぎを目標に夏の小唄を。

余興のひとこま
若女将はいつも自髪で新日本髪を結っていますよ。
(モノクロにすると何時代かわからなくなりますね笑)

今回は特別ゲストで清元の栄吉師匠が
「筆のかさ」と
「がん首」
を唄ってくださいました。
わたしが緊張しました苦笑


そうそれから、画像を頂戴しました。
これは春のある日。


普段の録音しごととは違った
ちょっとおもしろいおしごとでした。
結構変わったツボを押さえなくてはならなかったりして
大変だったけれど楽しかったです。

こういう画像頂く機会も少ないのでとっても
うれしいです。
ありがとうございますー


これは形になるのがまだまだ先と思われますので
忘れた頃にご報告など。

ではまた!



2016年7月18日月曜日

新しくなった、福田家さん


小学生の門出のことば、みたいな
タイトルをつけてしまいましたが、

先日、移転リニューアルされた紀尾井町の福田家さんにて、
夏のお懐石と小唄を楽しんでいただくイベントがあり、
小唄を演奏させてもらいました。


言わずと知れた魯山人ゆかりの料亭。
紀尾井ホールのお隣から、ニューオータニの
ビジネスタワー側お向かいへ。
(前のふくでんさんです)

会場の上品な床の間















お料理に合わせてこちらも夏の小唄を集めました。

夏景色

上汐  
今日は両国

勝名のり 
それですもうと

辰巳よいとこ
佃流し

並木駒形

それぞれ曲に纏わるはなしや、
佃の豆知識的なおはなし、
深川関係のおはなしなど
またしてもぺらぺら話しすぎまして、、

本当は
途中、夏の雨と夕立やもやりたかったのですが、、

でも最後にはお客様にも(無理やり)
花魁になっていただきまして笑、
無事に吉原について終えられました。
声を出していただくと嬉しいですね。
(コールアンドレスポンスがすき)

こちらは控室。。贅沢。。



演奏中の撮影を忘れたので、
企画された新日屋さんに終わってから
唄っている体で撮影されたものがこちらです。。

あんまり着ないタイプの色合いの着物をきましたよ。
濃い色もたまにはいいですね。

みなさん、ありがとうございました!
また、ぜひどちらかで。

それでは!



2016年7月11日月曜日

ドラクエ考

ドラゴンクエストというゲームをご存知でしょうか。
ってご存知ですよね。


私は忍耐力とか継続 心とかに欠けるのか、この手の(いわゆるRPG)もの、
全く続きませんでどれもクリアーした試しがないのですが
あの最初のテーマソングは御多分に洩れずわくわくして好きな私
です。

東横線の渋谷駅の発車メロディーがこちらになったと、
ニュースで読んでいたのですが、へえ、くらいにしか思っておらず。
先日たまたま副都心線から続きで乗ったら
あれが流れてきたわけですよ。

「おお」

やっぱりなんか声出ちゃいますよね。

まあ、隣の代官山に行くだけだったので
(おおげさだな。。)
とつい思ってしまったのですが、
友人から
「はじめてとなり町に行くときはそれはそれは冒険ですから」
と言われてちょっとくすっとしながら納得したのでした。
ちなみにこちら、期間限定だそうですね。

話は変わりまして、先日、こちらでもお知らせさせていただいていた
「五耀會」の公演が無事に終わりました。
さすがの先生方、三越劇場は満員大入りで、熱気にあふれておりました。


ナビゲーターを務められた桂吉坊師匠による、
袖からの貴重なショットです。
夏の小唄、端唄、ではみなさんお流儀の浴衣で涼しげに。
「淀の川瀬」は5人で踊られました。
奥で硬くなっているのがわたしです。

今回は江戸の流行唄、として大々的に小唄、端唄をフィーチャーして
いただき、お声がけいただいたものの大役すぎまして、、
随之会でご一緒の伊吹清寿さん、そして小唄幸三希さん(伊吹寿々さん)の
たくさんお力を頂戴し、3人のチームワークでさせていただくことができました。
そして、お囃子には望月左太寿 郎社中の皆さんにお願いでき、
曲の彩りを表情を豊かに、していただくことができました。

舞踊家の先生方のすばらしい実力を通して、
ちょっとでも小唄や端唄に興味を持っていただけるきっかけになったかな、
と嬉しく思います。
私は、、師匠や先輩諸氏のように、もっとすてきな唄がうたえるようになりたいと
一層思いました。。努力あるのみ。。

小唄はほかの邦楽より少人数で、私はたまに弾き唄いでも
させいてただいてしまうので、忘れてしまいがちですが、
こうした舞台のチームワークは本当に力になり、
お客様の耳に届くようにその空間の横のつながりが大切だと思い知らされます。

音楽は敵を倒すわけではないですが
ゲームもテーマソングでこんなに心躍るんだという音楽の力を信じて
小唄という小さな世界を体現できるような、
いい冒険に出られるように日頃、技術もこころも鍛錬したいと思いますよ!
(ここでテーマソングが流れる)

では!

2016年6月16日木曜日

立ち会いましたよ。


今年92歳ですって。
「やっぱり生で観ておきたいなあ」と思って
発売日にチケット取りました笑

昨日いってきましたよ〜

予想通り年齢層高めでしたが
みなさんとくに殿方がおしゃれで
イメージ
わたしももっとお洒落していけばよかったなあと
入り口ですでに後悔しつつ入場しました。
(むしろお稽古のままだったので着物で行けばよかった)
発券したときは3階席だったのですが、三階席のひとだけ入口が違う。
ん?
と思ったらチケットを書き換えられ、二階席に変更。
んんん?

そ、そうなのです、、
客席に着いて覗いたら、三階席にひとを入れていなかったのです。
ああ、申し訳ない。最後の日本公演だというのに埋められなくて。。
となぜか主催者側のような気持ちを抱えながら開演です。

いやー、すごいですよ。100分くらいだったかな、
一回も水飲まないんです(そもそも用意している気配もない)
それでビュンビュン声が出るんですね。
MCも軽妙なジョークを挟みつつ
(たぶん)


バンドもうそみたいな安定感で
ちょいちょいギターの音がダサめだったり
(褒めています)
コーラスの女性ふたりが独特だったり
ドラムが本当にいい音できもちよかったり。
そんななかで、
大御所っぽい所謂ハズシ芸やビブラート芸ではなく
心地よく声を出していくアズナブール氏。


序盤で脱いだジャケットがピアノに置かれた時
「ああ、このためにピアノは蓋を閉めていたのか」
とか絶対に違うであろうことまでつい思ってしまう空間の説得力も。
隣の席の女性は片時もオペラグラスを離しませんでした
(肉眼で見なくてもいいのかな)

まあ、若いころと比べたら
細かいことを言い出したらキリはないのでしょうが
声が伸びやかに出て、余裕があって、
なにしろ楽しそうで、
本当にすごいものを見てしまった。という感じでした。。

そもそも91才でカッコよく立っていることだけでも奇跡ですよね。
(しかもフランスからやってきて)

名曲もたっぷり、ファンサービスもたっぷり、
なんだか生き様も音楽みたいなかたなんだろうなあ
ついつい思ってしまう貴重な時間でした。
今日のオーラスもがんばってください!
(とNHKホールの方向に向かって)

アズナブール氏、もちろん名曲ばかりですが
80を過ぎてから発売されたこちら。
エルトンジョンやプラシドドミンゴ
スティングにキャロルキング!などなど
という夢みたいな面子とのデュオが楽しめて
おなかいっぱいすぎるこちらの二枚組もぜひ。




楽しいアルバム

あ、オフィシャルには「アズナヴール」なんですね。。
ヴ。ね。

2016年6月3日金曜日

6月突入


こんにちは。
あまりにもじたばたしたまま5月を終えていました。。
6月はわりと私は準備期間な感じです。
この間にいろいろ蓄えておかねばと
じぶんに伝えておきます。。


さて!お知らせが二点。
まずは
7月2日15時開演の五耀會の皆々様の公演
小唄・端唄を大フィーチャーいただき
わたしも演奏で参加させていただくことになりました。
1日よりチケットも発売となりました。

…当然のように残席わずかとのことですが
どうぞよろしくお願いします!




五耀會の先生方と、桂吉坊師匠のナビゲートにのせて
日本橋三越劇場から江戸をそぞろ歩きできたらと思います。



そしてもう一つ。
新日屋さんの企画で、この度リニューアルされた
紀尾井町「福田家」さんで演奏させてもらいます。
わー。これも楽しみ。
夏の風情を感じていただけたら幸いです。
詳しくはこちらまで〜


2016年5月3日火曜日

新しいお名前を

芸事をされていないかたや、
郵便屋さんには
「一体いくつお名前をお持ちなんですか」
と訊かれそうですが、、

急遽と申しますか、、
古曲の一中節のお名前を頂戴しました。。


来月大阪の公演にのせていただくことになりまして、、
私にお声がかかるくらいですので
本当に人手がないというか、緊急事態だったと思うのですが、、

何もわからない私に根気よくお稽古いただいております。。
今日はお日柄がよかったようで、お札を頂戴しました。
名前入りのお扇子まで作っていただけて感激。。

ちなみにお名前は、お声がけいただいたときにすでに候補をお決めくださっていて笑、
さらにはすでに字画なども観ていただいていたようで、
宇治かよ
になりました。
(みなさん平仮名二文字のお名前です)



思い起こせば東明流のお名前を頂戴するようになった時も、
東明流が何たるかも全く知らない状態で、
小唄に入門してまだ一年と経たないころ師匠から
「今度会があるんだけど三味線弾きが足りないのよ」
と、テープと「平岡吟舟と東明流」という東明流の歴史などの本をどかっと頂戴し、
いきなり舞台にのるようになった次第で、、

なにもちゃんとできないのに、皆さんに運んでいただいてしまっている人生というか、、ああ、とはいえどれもきちんとできなくてお恥ずかしいのですが。

でも不勉強なわたしにもっといろいろちゃんと勉強して深めなさいと言われているのかしらとも。。

何をやるにも時間がかかるので、
まずはお役にたてそうなことを一つずつ丁寧にクリアしつつ

なんとか踏ん張って身につけていきたいなと思っております。あっぷあっぷ。。

ということで、久しぶりに大阪に参ります。



2016年4月3日日曜日

春爛漫








例年この時期は北野をどりのお手伝いをさせていただいておりまして、

今年はばたばたしていたり思うところがあったりして、わがままを言いまして皆様にお願い致しました。

満開の東京の桜を見るのは7年ぶりになるのでしょうか。

千佳喜会でお花見の小唄会を催しました。柳橋のあみ新さんから出まして、
浅草向島を堪能しました。
春の曲、隅田川界隈の曲しばりで小唄を唄いあい、
ゲストのかたにも唄っていただいちゃいました。

季節を感じて音楽を楽しむ、言葉を楽しむ、風景を見ながら美味しいものを食べる、
贅沢なことですが、とても大切なことに思えました。

スカイツリーと屋形船。
今の東京と江戸小唄。






2016年3月18日金曜日

柳橋ふたたび。



4月3日夜にお弟子さんがたとゲストの方々とで屋形船のお花見の小唄会をする予定にしておりまして。お世話になる船宿さんに様子見がてら打合せに行きました。ああ、いい風景ですね。。

柳橋から浅草方面に出て、途中停泊して小唄をご披露いただくのですが、
揚げてもらう江戸前の天ぷらのほか
小さいころから私が慣れ親しんだ魚熊さんのお刺身を出してくれるみたいで個人的に盛り上がってしまいました。(食べもののしんぱいばかりしている)

この調子だと桜はひょっとしたら終わってしまうかもかしら、、
春を唄って楽しい会にしたいです。

ご覧のみなさんも、もしご希望でしたらぜひ!

2016年3月10日木曜日

思い込みとは。


師匠のところで、とある小唄をお稽古していただいていました。

「あぁ、この小唄も岡野知十作詞、吉田草紙庵作曲なんですねえ、」
(小唄黄金期の名コンビです)

と申し上げると、師匠から、この二人といえばあの小唄もだわね、あれ、ほら、あの、

他にもたくさんあるので、あれ、ではさすがにわからなかったのですが、

「向島の百花園で、ほら、みんなで集まって、虫の音色?
いや、違うな、
拍子木の音だったから、、うーん、あ、そうだ水鶏だ」

向島の百花園が出てくる小唄はいくつかありますが、あれですか、これですか?と一応伺いますが私も言いながらなんだかしっくりきません。

「お師匠さん、私その小唄知らないのかもしれません
    (がーん。なんとも悔しい)。。」

「あらやだ、そんなことないわよ絶対」

師匠は今年89歳になられますが、かなり頭と記憶の冴え渡るかたです。

そう仰られるとそうなのかもしれない。けれど百花園で水鶏をみんなで聞くなんて小唄あったかしら。。

「あ、そうだわ。だまされて、だわ!」

突如思い出されて師匠うれしそう。よかった。。
え、「だまされて」?
…あ、そうだ。確かに水鶏が出てくる。。




がーん。知ってた。でも百花園なんて出てきませんけれど、、

「はー、すっきりしたわ。あのね、みんなで百花園で水鶏を聞く会っていうのを催してね…」

帰宅してよく調べましたら

バイブル

水鶏を聞く会、なんて虫や蛍をあらかじめ放った会と違ってそうそううまく水鶏が鳴くはずもなく、

こちらが水鶏(クイナ)です。鳴き声は戸を叩くような音から「叩く」なんて表現します。


あらかじめ水鶏役の男性を雇い、草むらにかくれて頃合いを見て小さな拍子木でチョンと叩いて鳴き声のように聞かせる、という仕組みになっていました。
しかし、肝心のこのかたがお酒に酔って眠ってしまいまして、驚いて起こして慌ててめちゃくちゃに叩いたので水鶏の鳴き声には聞こえるはずもなく、、

というご愛嬌で賑わった会のことを詠んだ句から小唄になったようでした。

小唄の洒落のきいた世界が、現代ではわからなくなっている習慣のこともあるので、
私も歌詞の意味だけでなく調べたり本を読んだりするのがわりと好きだったのですが、

この小唄は初めて見たときに、なんとなく男女の仲の話だけだと勝手に思い込んでしまって背景を調べもしなかったようでした。しかもなんともせつないメロディの印象なのも手伝って、、(という言い訳)

もちろんそうとれるように上手にできている小唄になっているのでしょうが、こんなサイドストーリーを聞くと一層面白く思えますよね。

私がもしこんなエピソードから小唄を作ろうとしたら
百花園、とか、拍子木が、とか、
わかりやすいものを歌詞にもりこんでしまいそう、、

こういう話が土台にありつつ、やんわり煙に巻きながら面白い小唄を作るセンスって本当におしゃれですてきですね。。

あー道のりがまた果てしなく遠く感じました。。


2016年3月5日土曜日

柳橋へ

みなさまお元気でしょうか。
気がつけば確実に春の足音が。

今日は打合せに懐かしの地、柳橋へ参りました。

柳橋の拾い画です。

柳橋といえば、かつて東京随一と謳われた花街。
いまは料亭も見番もなくなってしまい、街も様変わりしましたが、
成瀬巳喜男監督の「流れる」をはじめ、数々の映画の舞台にもなりましたね。
小唄でももちろんたくさんうたわれている土地ですが、
何をかくそう、千紫の家元、千紫千恵も元は柳橋の芸者だったそうです。

とここまで書いておいてさらになんですが

そして、わたしも(えらそう)生まれ育った土地でございます。

小さいころは政治家の黒塗りの車が行き交うこともあったこの通り。
こちらの通りのつきあたり、隅田川のすぐ手前という
素晴らしいシチュエーションの本日お邪魔した藤間蘭黄先生のお稽古場。
入り口でお弟子さんが待っていてくださいましたが
わたしが撮影していたために引っ込んでくださってしまいましたすみません。。

僭越ながらうちの実家も浜町に越す前はこの通り沿いだったのでした。

通り沿いに柳の木がならび、夏の盆踊りもこの通りを会場として開催されていました。
蘭黄先生のお祖母様はご存知、人間国宝の故 藤間藤子先生。
私は人間国宝という言葉をご近所にお住まいという藤間藤子先生のお名前で初めて知りました。当時とても不思議な言葉に思えたものです笑
そして、お稽古にいらした役者衆もご近所でちょこちょこお見かけしていました。
幼心に、すれ違った澤村藤十郎さんのなんともいえない美しさが印象的でいまでもあの時のことを思い出せます。。

ちなみに蘭黄先生の御宅のお隣は、かの有名な小唄のスター市丸さんのお家でした。
いまは改装しておしゃれな隅田川沿いのギャラリーカフェに。

ですので、その盆踊りでは市丸さんのヒット曲「三味線ブギ」が必ずかかりました。
盆踊り命だった私はこれで育ったので、てっきり全国的に盆踊りのスタンダードナンバーなのかと思っておりましたはい。。

確か小学校の先輩の鳥肉屋さん。焼き鳥が美味しかった。
穴子が異常に美味しい思い出の梅寿司

話がそれましたが、本日は五耀會の先生方と打合せをさせていただきました。その前に、定例の「日本舞踊への誘い」公演がありましたので、
所用で遅れましたが、ちゃっかりそちらも拝見させていただきました。

本日は長唄「松の緑」をそれぞれのご流儀で観賞する、というまた一段と面白い企画でした。

ほっと一息の先生方アフタートーク中

本日の打合せの内容はまた後日こちらでご紹介させていただくことにして、

今日は久しぶりにしみじみと柳橋を歩かせてもらいました。
三味線ブギを一心不乱に踊っていた当時は、自分が小唄の演奏者になるとも、まさか蘭黄先生とご一緒させていただくようになるとも、夢にも思っていなかったので、
人生は何が起こるかわからないものだなあと思いました。


…って他人事みたいでなんかすみません、とにかく精進します!!