さらにつづき。「産む日」最終回です。
あの、、暇な時によんでください。笑
ウイダーインゼリーというものは正直好きな食べ物ではありません。
それでも
バナナは、私の好みを熟知した夫が、青っぽいのを買って来てくれました。
とにかく口を動かした方がいいと言われて(すぐ寝てしまうから)
両方モグモグ口に放り込みます。うう。味がわからない。
「弱まってる…?」
というささやきあう声が遠くに聞こえました。
もう時計は見ていません。
「産もうよ。とにかく動いて進めましょう。絶対できるから」
何回目かのこの励ましでなんとか奮起。
だって、もう、こんな状態やだし。早く赤ちゃん見たい。
「痛みににげちゃだめ。そこに向かってみて」
どのタイミングか忘れましたが、もう私は意地になりました。
「絶対産みます」
……ここに来ているんだから至極当たり前のことですが。
何分かおきに、こう宣言するようになりました(むしろじぶんに言い聞かせてた)
まったく感覚無くスタスタ足が進んで、階段の上り下りをしたり
お産を進める為にトイレに入りいきみながら進めてみたり。
準備がなんとかそこで調い、部屋に戻るときの歩みもかなり確かなものでした。
ああ、私、体力すごいついてたのかも。
呆然とそんなことを考えます。
この助産院では「目的を持たない一時間以上の散歩」
を全ての妊婦のノルマにしていたのですが
あのときの勝手に足が進む感じ、いつの間にか遠くにいるときの感じ。
戻って来て、一緒に産むべくスタンバイしていた夫に
肩越しにバナナとウイダーインゼリーを差し出されると
こんどは自主的に口に運べました。ああ、美味しい。
別に○永からなにももらってはいないのですが
ウイダーインゼリーは、ほんとうにCMのごとく。
夫にしがみつきながら口に運び、ごくごくいくと
○PのCMように、体の奥からものすごい力がわいてきます。
「そうそう、上手よ。そこに向かって。もう頭がちょっと出ていますよ」
…私も、もっとお弟子さんを上手にほめよう。
…かなりやる気がちがう。
頭が出るまでが大変でした。
「目をとじちゃだめ。出る所みて!」
これも、マタニティヨーガで使った動き。あ、あれだ。なんて思う。
確か腹筋がすごいねなんて褒められたから、きっとできる。と自信。
声を出しながらたくさんいきみました。
「あ!」
「もうファー、ファーと息をのがしてー!」
と言われた時、なにかが降りて行く感覚とものすごい快感が私にやってきました。
「うわー。きもちいい!」
あれは、強がりの感想なのかと思ってた。
すごい。なんだこれ。
しかも、目の前には私とへその緒でつながった生物。
この子がおなかにいたんだ。
たくさん泣きながら
「気持ちよかった。また産みたい」
と言ってしまい、
「こんな思いしてこんなすぐ言う人あんまりいないわ」
と院長宗さんにあきれられました。
ちょっと、アレなんですけど
陣痛の痛みって、その後のあの産む瞬間の快感の為にあるんじゃないかと
そんなことを思ってしまうほど、気持ちのよい時間でした。
ぼろぼろ泣いている夫がへその緒を切ってくれて
ぶじ、赤ちゃん(本当に真っ赤)は自分で呼吸を始めました。
時計をみたら13時半過ぎ。
破水からのタイムリミットがあるため、がんばって産んでしまい
出血がかなりあったようですが、これって安産なんだって。
うん。気持ちよかったし、お互い元気だし。
すぐにだっこして、あたため合いました。
「9時の時点であの状態で、よく昼間に産めましたね。おめでとう」
宗さんに言われてしみじみしました。
ここで産めてよかった。私にも出来たんだ。
***********
助産院で産むひとや、自宅で産むひとも
最近徐々にまた増えてはいるようですが、まだまだとっても少ないそうです。
私も病院はどこ?ってよく聞かれました。
みんながみんな希望どおりにはいかないとおもいますし
私もどうなるかわからなかったわけだけど
もし興味があって自分の体と向き合ってみたいなら
ぜひ自然分娩を体験してみたら素敵だなと思います。
病院は、安心して赤ちゃんを産める場所。
助産院は、赤ちゃんを産みたい妊婦を育てる場所、のような気がします。
私も、きっとこれからいろいろもっとあるだろうけど
少しだけ、自信をもってのりこえられるかな、と思いました。
それは、赤ちゃんと、この助産院に教えてもらったことです。
これからも、できるかぎりのこと、あきらめないでやってみようかな。
0 件のコメント:
コメントを投稿